旭山動物園わくわく日記
全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら
凶暴と言われるカバ*己と仲間守るため戦うだけ

カバを見てこう言う人が多くいます。
「実はめっちゃ凶暴なんだよね」
担当者としては腑(ふ)に落ちない表現です。
何の動物でもテリトリーが「敵」に侵入されるのは嫌なことです。
しかし、大抵の動物は敵に対して勝てないことが多く、相手が人間となるとなおさらかなうはずもありません。そういう動物は結果的に逃げるか隠れるという選択肢しか生まれません。
ただ、カバは人間にもモーターボートにすら勝つ力があるので、自分のテリトリーから「敵」を追い払うことができます。
そうした瞬間を切り抜いた情報ばかりが目に入るので、凶暴とレッテルを貼られがちなのがカバです。カバはあくまで自分の身や仲間を守るために戦うだけで、縄張りの外に出て人や村を襲う生き物ではありません。むしろ、カバからすると、なわばりに侵入し好き勝手する人間の方がよっぽど悪の存在になります。
もしカバが本当に乱暴で凶悪な生き物だとしたら、周りに他の生き物はいなくなります。しかし、野生のカバは背中にカメやトリを乗せ日なたぼっこさせたり、トリが口の中に入って汚れを食べている間はジッと口を開けたまま待ったりしています。そして、そうした小さい生き物はカバの近くにいることで、自然と敵から身を守れます。
また、旭山動物園では、そうしたカバの本来の習性を利用することで、定期的にカバの歯のメンテナンスを行っています。その際はカバの口の中を触りながら、歯をのこぎりで切り長さを整えます。カバにとっては口の中をいじられるのは心地が良いことで、口を開けたままジッと待って歯を切らせてくれます。また、魚が皮膚の汚れを食べてくれるように、かゆい所や奇麗にしてほしい箇所を擦ってくれと自らアピールしてきます。
そうした姿はガイドでも見ることができるので、これからもカバの飼育を通して、悪い固定概念を少しでも柔らかくできたらと思います。(きりん舎・かば館担当 鈴木達也)
【写真説明】口を開けたまま歯を切らせてくれるカバ
(2026年03月02日掲載)
※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


