北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


あさひかわ音楽協会の会長 佐藤淳一さん(44)

若手音楽家の発掘・育成に力*「個」の演奏 発表の場復活を

 旭川市内や近郊で活動する音楽関係者約30人による「あさひかわ音楽協会」が昨年12月14日、設立された。初代会長に就いた佐藤淳一さん(44)は北海道教育大旭川校の准教授で、自らも演奏するサックスなど管楽の音楽教育を専門とする。若い音楽家の発掘を目指す協会の活動や、少子化が直撃する道北の音楽文化の現在地を聞いた。
 
 ―音楽協会の設立経緯や狙いを教えて下さい。
 「旭川には、『旭川市新人音楽会』の名称で1997年から2024年まで、計26回開かれた音楽会がありました。しかし、高齢化などから運営団体が解散しました。まず、音楽関係者のネットワークづくりが必要と考えました」
 
 ―どのような活動を予定していますか。
 「新人音楽会を復活させたいです。吹奏楽団や合唱団など団体に所属していれば発表の場がありますが、個の力を発揮する場はありません。音楽会は基本的に室内楽という小さいアンサンブルか、ソロが基軸。個にフォーカスを当てたいです」
  
 ―演奏家にとって、発表の場があることの意義は大きいのでしょうか。
 「絵はそれ自体が存在するだけで芸術です。音楽は人がいて、聴いてもらって初めて成立する芸術なんです」
 
 ―旭川の若い世代の音楽活動をどうみていますか。
 「旭川は『音楽のまち』と言われ、最近は、特に吹奏楽の活躍が目覚ましいです。旭川明成高は2025年度の全日本吹奏楽コンクールに初出場し、中学も全国クラスの活躍が続きます。道内はこれまで札幌一強でしたが、旭川も力を付けています」
 
 ―その一方で、活動自体の継続が難しいという小さな自治体もあります。
 「人口減少の影響は大きい。部活動であれば、人が減って存続自体が難しくなり、他校との統合もあります。学校での音楽活動ができず、音楽を続けるため地元を離れるケースもあります」
 
 ―音楽を楽しむ若い世代をどう支えていけますか。
 「管楽器だけでなく、弦楽器、ピアノといった演奏や音楽教育に携わる幅広いメンバーがいます。例えば『トロンボーンの専門家を紹介してほしい』という要望に協会が応えたり、各地に点在する小さなクラブと合同でジュニアコンサートを開いたりすることができます。こうした活動で将来を担う世代の育成にもつなげていきたいです」(聞き手・後藤耕作)
  
*取材後記
 部活動はこれまで、演奏の楽しさを知る「芽生え」の経験を多くの子どもたちに与え、佐藤さんもその1人だった。人口減少で団体や活動が維持できず、音楽に触れる機会が減っている地域もあるかもしれない。「旭川の音楽の力を増幅させたい」と話す佐藤さんを中心にした音楽協会という新しい組織が、若い世代に憧れの舞台を提供し、新たな芽を育てていく存在になってほしい。
 
 さとう・じゅんいち 千葉県出身。洗足学園音楽大や同大学院を経て、東京芸術大大学院音楽研究科博士後期課程を修了。サックスを中心とした管楽器が専門で、国内外で演奏活動も続ける。道教大旭川校准教授、道教大岩見沢校講師を務める。

(2026年01月19日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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