北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


オランウータンの繁殖へ*個体の搬出入 作業に緊張

 2025年はオランウータン担当にとって、とても記憶に残る1年でした。

 なぜかというと、当園で飼育していた雌の森花(モカ)が石川県のいしかわ動物園に移動し、いしかわ動物園から雌のドーネという新しいオランウータンがやってきたからです。旭山動物園におけるオランウータンの移動自体について、搬入は23年ぶり、搬出はなんと初めての出来事! なので担当者としてはとても緊張しながら移動の準備を行いました。

 モカは旭山動物園で15年に生まれ、10歳になりました。4歳の時に母親のリアンが急死してしまい、兄のモリトが母親代わりをしたというとても珍しい経験をした個体です。まだあどけない姿でいたずらばかりしているモカでしたが、24年の春から生理出血が認められるようになりました。つまり立派な大人の仲間入りをしたということです。

 ですが、旭山動物園にいるのは兄のモリトだけなので、繁殖をすることができません。そこで、モカを搬出し、ドーネを搬入する計画が動き出しました。ちなみにこの計画は日本動物園水族館協会のオランウータン計画管理者が中心となり、国内全体のオランウータン事情を考慮したうえで立てられたものです。

 ドーネは野生出身の推定29歳の個体で、妊娠経験もありますがその時は残念ながら死産でした。いしかわ動物園では雄の個体が死亡してしまい、その後はドーネが1頭で飼育されていたので、旭山動物園でモリトと繁殖を目指しての移動となりました。

 まずはドーネがいしかわ動物園からやってきました。ドーネを載せた輸送檻(おり)は飛行機で北海道までやってきました。夕方、旭山動物園に到着したときは元気そうでホッとしました。おらんうーたん館に搬入した後もとても落ち着いており、この原稿を書いている年末ではだいぶ新しい環境に慣れてきたように感じます。

 次はモカの搬出の番です。麻酔をかけて輸送檻に入れました。麻酔から覚めた後もとても落ち着いていました。別れはちょっぴり寂しいですが、飼育係の願いとしてはいしかわ動物園でもモカを通してオランウータンの素晴らしさや生息地のボルネオの保全について伝える機会になればと思います。
(オランウータン担当 佐藤伸高)

 

【写真説明】旭山動物園にやってきたドーネ
(2026年01月12日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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