北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


チンパンジー「ユズ」来園*環境への順応見守って


 10月25日に宮崎市フェニックス自然動物園から、雌のチンパンジーの「ユズ」が来園しました。旭山動物園でのチンパンジーの新規導入は、29年ぶり(「ミコ」以来)で、動物園職員でも当時を知る人間は2人だけ。ユズにとっても、私たちにとっても、初めてなことばかりで、毎日新鮮な気持ちで観察していましたので、少し振り返ってみたいと思います。

 来園してすぐは、少しえさを食べる量が落ちましたが、徐々に回復し、手渡ししたえさも食べ、緊張が解けてきているのが分かりました。えさを食べるようになり、バックヤードでの生活にも慣れてきたところで、すでにいる雌たちへの合流に向けて、練習を開始しました。それぞれの性格などを見て、初めに「チロ」との同居を目指すことにしました。

 いきなり、同じ部屋に入るわけではなく、窓越しでの対面を数回行いました。初めて対面したときは、少々興奮気味でしたが、すぐに各々の部屋で落ち着いて過ごすことが多かったので、同居を開始しました。同居を開始してからも、ケンカもなく落ち着いています。また、同居を開始したことで、ユズの食欲が少し上がりました。チンパンジーは、群れで生きる動物です。やはり、複数頭でいたほうが安心するのか、はたまた食い意地なのかはわかりませんが、ユズのチンパンジーらしい姿が見えた気がします。

 チロとの同居が順調に進んでいるので、今は次の段階として、他の雌たちとの同居に慣れることと屋内の放飼(ほうし)場に慣れなければなりません。

 先日、屋内放飼場に出す練習をスタートしましたが、景色が全く変わることもあり初回は、数秒出てすぐに部屋に戻ってしまいました。2回目は、時間をかけて屋内放飼場に出たはいいものの、なかなか部屋に帰って来ず、大変苦労しました。

 まだまだ、旭山動物園の環境に慣れていく段階で、見に来ていただいたタイミングで「ユズ」を見られるかはわかりませんが、SNSなどでの発信は続けていきますので、温かく見守っていただけたらと思います。(チンパンジー担当 若山晃暉)

【写真説明】徐々に距離が縮まってきたユズ(左)とチロ
(2025年12月08日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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