北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


道産いきもの保全プロジェクト*施設間で情報共有、繁殖も


 旭川市旭山動物園を含む道内九つの動物園・水族館が連携し、野生生物の保護などに取り組む「北海道産いきもの保全プロジェクト」が、活動開始から3年あまりが経過した。保護した野生動物の情報共有や施設間での移動を積極的に行い、繁殖にもつながっている。

 プロジェクトは2022年4月に開始。北海道には道内だけに生息する固有種が多く、複数の園が連携していくことでその命を守る取り組みだ。旭山でプロジェクトに関わる飼育員佐藤和加子さん(44)は「絶滅するような希少種ではなく、そうなる前に北海道の野生動物を保護することが大事だ」と意義を話す。

 プロジェクトにより、保護した動物の治療方法や、その動物に適したえさの情報共有がしやすくなった。園の垣根を越えて飼育個体の血縁関係をまとめた台帳も作成。ペアリングの計画を立てやすくなるという。

 以前よりも動物の移動が積極的にできるようになったことも利点だ。これまでエゾタヌキやエゾモモンガ、エゾリスなどが道内の他園から旭山に移動してきた。

 帯広市内で23年6月に保護された道内の固有種でエゾタヌキのそら(雄、2歳)もその1匹。一時的におびひろ動物園で飼育されたが、同園には長く飼育するためのスペースがなく、旭山が同8月に受け入れた。今ではすっかり慣れ、旭山の一員だ。

 9月1日からは、同プロジェクト主催の「わくわくスタンプラリー」を実施している。9施設を巡り、スタンプがたまると抽選で各施設のバックヤードツアーなどの特典を受けられる。佐藤さんは「普段の暮らしの中で野生生物に会うのは難しいが、動物園では近くで観察することができる。ぜひラリーに参加してほしい」と話している。(池田有珠)

【写真説明】エゾタヌキのそら(熊谷洸太撮影)
(2025年09月22日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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