どうほく談話室
CAPあさひかわ代表 中島智子さん
暴力から身を守る方法伝え25年*子どもに「安心」「自信」「自由」を
子どもたちが、いじめや虐待といった暴力から自分自身を守ることについて考える教育プログラムを、学校や児童養護施設で実施している旭川市の市民団体「CAPあさひかわ」が今年、活動開始から25周年を迎えた。これまで子どもたち約2万人、教職員など大人約9300人にワークショップを実施。代表の中島智子さんに活動内容や課題を聞いた。
―CAPあさひかわは、どのような組織ですか。
「CAPは英語の『チャイルド・アサルト・プリベンション(子どもの虐待防止)』の略で、1978年に米国で起きた子どもへの性的暴行事件がきっかけで始まった市民運動です。CAPあさひかわは1998年に設立し、2000年に活動を始めました。会のメンバーは9人で主に上川管内各地でワークショップを行っています」
―いじめについては、子どもたちにどのように伝えていますか。
「まず、子どもにとって大切な『安心』『自信』『自由』の権利について考えてもらいます。その上で、例えば学校帰りに友だちのかばんを無理やり毎日持たされたらどんな気持ちになるか想像してもらいます。嫌だと言ってもいいし、もし言えなかったら違う友だちと一緒に帰る、誰かに相談するなど、状況に応じた対処を話しています」
―誘拐や連れ去りなどへの対応については。
「近づきすぎない、つかまれたり、怖いと思ったら逃げるといった対策に加え、周囲の注意を引くよう『あー』『おー』など低い声での叫び方を実践してもらいます」
―性的虐待への対応も重要です。
「知っている人からの被害が多く、加害者から『ここだけの秘密』と言われてしまうと、何もできなくなりがちです。そこで安心、自信、自由が損なわれていないか考えてもらうのです。それが信頼できる人への相談につながります」
―大人のワークショップもありますね。
「教職員や保護者が対象です。暴力を受けた子どもに『大したことない』『がまんしろ』といった誤った対応をとらないように伝えます」
―活動25周年を迎え、会の課題はありますか。
「現在のメンバー9人は、設立当初から関わっています。新しい世代の指導役を増やしてワークショップを充実させていきたいです」
―指導役養成が欠かせませんね。
「ワークショップは『CAPスペシャリスト』という資格を取得した人が行います。9~10月に初めて旭川で養成講座が行われるので、ぜひ参加してもらいたいですね」(聞き手・弓場敬夫)
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スペシャリスト養成講座は9月13~15日と10月11、12日。受講料4万円、テキスト代4400円。22歳以下は受講料免除。問い合わせは一般社団法人J―CAPTA、電話090・2876・9429へ。
*取材後記
「暴力とは何か、どうすれば心と体を傷つけられずにすむのか、自分で考える力を付けてほしい」。取材に対し力強く語る口調には、安全を願う強い決意が感じられた。いじめや虐待が社会問題となって久しい。四半世紀を迎えたCAPの活動が、子どもたちの未来につながることを心から願う。
なかじま・ともこ 東京都出身。駒沢大卒後、看護師資格を取得し都内の病院で勤務した。結婚後に北海道へ移住し、室蘭、札幌を経て、1992年から旭川在住。3人の子育ての中でCAPの活動を知り、98年のCAPあさひかわの設立に携わり、「CAPスペシャリスト」資格を取得した。2003年から旭川家裁の調停委員を務める。
(2025年08月18日掲載)
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