旭山動物園わくわく日記
全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら
久しぶりのトナカイ担当*経験生かし繁殖させたい
約20年ぶりにトナカイの担当になりました。旭山動物園で現在飼育している3頭は、2015年に釧路市動物園からやってきた「3代目」です。
私が以前担当していたトナカイは2代目で、個人で飼育していた方からの寄贈で2001年にやってきました。ちなみに初代は1973年に日ソ親善交流で「親善大使」としてソ連(現ロシア)から寄贈された10頭。冬は来園者をそりに乗せて引いていたそうです。
2代目を飼育し始める時は、同じ鹿の仲間の「ワピチ」を担当していた私がトナカイもみることになりました。その頃の私は、飼育員になってまだ数年。トナカイの飼育方法など全くわからない状態でした。初代のトナカイを担当した大先輩へ話を聞きに行ったり、資料を集めたり、休日に道北のトナカイの飼育施設に出掛け、飼育方法を教わったりしたことを思い出します。
そんな中、全部で8頭いた2代目のうち5頭が次々と死んでしまいました。餌が合わないのか? 飼育環境が合わないのか? 獣医師と原因を探りましたが、何が問題か、なかなか答えにたどり着けません。
動物園では、飼育動物が死亡すると、死因を解明するために解剖を行います。5頭目の解剖でとうとう「肝蛭(かんてつ)症」という肝臓に吸虫が寄生する病気だと突き止めることができました。思ってもいない病気に驚きましたが、すぐに駆虫薬を投与すると、残り3頭はすっかり元気になりました。
今回またトナカイの担当となり、昔の記憶を呼び起こしながら繁殖も成功させ、トナカイ舎をにぎやかにしていきたいと考えております。クリスマスの時期だけではなく、年間を通してトナカイを観察しにぜひ足を運んでみてください。(トナカイ、ニホンザル、ニホンイノシシ担当 畠山淳)
【写真説明】現在飼育しているオスのトナカイ
(2025年05月26日)
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