北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


るもいアウトドア観光ネットワーク会議事務局 金川文子さん(42)

留萌管内で野外体験を企画*海や山、食材 故郷の魅力発信

 雄大な日本海を望み、暑寒別岳や天売・焼尻島といった無二の自然環境を有する留萌管内。アウトドア愛好家ら市民有志でつくる「るもいアウトドア観光ネットワーク会議」の事務局で、さまざまな体験活動の企画を手掛ける金川文子さん(42)に活動の展望や管内観光の可能性を聞いた。

 ―会議ではどのような活動をしていますか。
 「管内の自然を生かしたアウトドアメニューを考え、観光客を呼び込もうと2022年に発足した組織です。縦に長い海岸線『オロロンライン』を生かしたサイクリング企画や、ボードに乗ってパドルをこぐ『SUP(サップ)』体験会をダム湖で開いたり、豪雪を逆手に取ったスノーシュー体験を行ったりしています」

 ―観光先としての管内の魅力はどうでしょう。
 「海と山に囲まれた管内は季節ごとのアクティビティを楽しむことができ、また、食材の宝庫であることも魅力です。派手さはないかもしれませんが、じわじわとクセになる地域で、リピーター獲得につながる可能性を感じます」

 ―東京で旅行会社に勤務した後、Uターンしたそうですね。
 「大学生の頃から主にバックパッカーとして海外を巡り、50カ国以上を訪れました。異文化や絶景を訪ねつつ、土地の人と触れ合う―。旅の醍醐味(だいごみ)を感じつつ、卒業後は東京都内や札幌で旅行会社に勤めましたが、ふと高校卒業までの20年弱を過ごした留萌の景色が思い浮かぶようになりました。地元に戻り、旅を企画する側から『手つかずの故郷・留萌』の魅力を伝えたいと考えたのがUターンのきっかけです」

 ―管内の課題は。
 「道内の他地域と比べ、観光客やインバウンド(訪日客)が押し寄せているとは言えないのが現状です。観光に関して遅れをとっている感は否めません。来年夏には留萌市内で、アウトドア用品製造販売大手モンベルの大型ショップを核としたアウトドアの拠点施設が開業予定です。これを追い風に、まずは北海道を訪れた人の目線を管内に向けさせる取り組みが必要でしょう」

 ―今後の目標を。
 「自分自身が各地で味わった旅の楽しさを原動力に、『また留萌管内に来たい!』と思ってもらえるような体験プランを作りたいですね。管内の子どもたちが地元に誇りを持てるような観光教育の企画にも関心があります。アウトドアの可能性が広がりつつある今だからこそ、地域の魅力を届けていきたいです」(聞き手・山田健裕)
 

*取材後記
 「ここに来ないと味わえない体験がいくつもある。『ここは何もないマチだから…』なんてことはないし、もっと地元側が自信を持たないと」。留萌で生まれ育ち、東京勤務や海外巡りを経験した金川さんは「内と外」の二つの視点を持つ。手つかずなのは、伸びしろの裏返しでもある。次はどんな仕掛けが飛び出すのか。雪解けが近づく留萌で、記者も心が躍る。
 
 かながわ・あやこ 1982年、留萌市生まれ。留萌高を卒業後、東洋大在学中からバックパッカーとして海外に渡航し、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS、東京)に就職。札幌市内の同社拠点への転勤を経て、2017年に留萌市内の旅行会社「コササル」入り。22年から現職を兼務。

(2025年03月24日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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