旭山動物園わくわく日記
全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら
命の尊さ伝える教育活動*環境保全 未来に種まき
旭川を代表する観光地として多くの来園者でにぎわう旭山動物園。生き物の飼育、展示に加え、子どもたちに命の大切さを伝える教育活動にも力を入れている。
取り組みの一つが、骨格標本の展示や貸し出しだ。教育活動を担当する飼育員、佐賀真一さん(44)が、同園で命を終えた動物の一部を冷凍保管し、自ら骨格標本を製作。市内で駆除されたヒグマの頭骨を標本にすることもある。
今年はチンパンジーの腕を標本にし、園内に新たに展示した。体のつくりの特徴や、人間の体との違いを説明するパネルも設置。骨だからこそ分かる部分も多いといい、セミナーや学校などにさまざまな標本の貸し出しも行う。
学校にモルモットを2~3週間貸し出し、子どもたちに世話してもらう事業も長年続けている。今年は市内外の約15の小学校で実施。動物を飼育する学校が減る中、貴重な機会となっている。
今年6月には子どもたちだけで園内を見学する初のイベント「あさひやま・キッズ・Zoo」を開催した。親や先生の目を気にせず、心ゆくまで動物と向き合ってほしいと企画。授業のように解説する時間は設けず、会場の飼育員たちは、子どもたちとの何げない会話の中で、質問されれば説明する形をとった。開始早々走り回り、疲れ果てた子どももいたが、同園は「動物を見ながら走る。それだけでも、いつもと違う特別な空間にできた」と振り返る。
教育活動について佐賀さんは「10年、20年かかるかもしれないが、いつか自然に目を向けてもらうための種まき」と話す。動物に興味を持つことで、環境保全への意識も育んでほしいと、日々命の輝きを伝え続けている。(葉柴陵晴)
【写真説明】自ら作ったヒグマの頭骨の標本を手にする佐賀さん。複数並べると、性別や年齢によって大きさや形が異なることがよく分かるという
(2024年12月16日掲載)
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