北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


カバとカピバラ*顔、生態 共通点たくさん


 皆さんはカバとカピバラを見比べたことはありますか? 彼らには共通点がたくさんあります。

 たとえば顔のパーツの配置。カバもカピバラも水に入ることを好む生き物です。水の中に体を沈めたまま呼吸やあたりの観察ができるよう、耳・目・鼻の穴が一直線についています。

 生態でいうと、どちらも群れの構成の仕方が同じです。彼らは「強いオス1頭、メス複数頭とその子供たち」という群れを作ります。群れに入れなかった弱いオスは、1頭で暮らしたり、弱いオス同士で集まって群れを作ったりします。

 群れを率いる強いオスになるための争いは、カバもカピバラもなかなか熾烈(しれつ)で、体の一部を失ったり、命を落としたりすることもあります。子孫を残し、家族を守るために一生懸命ですが、強いオスの立場は2、3年で交代することがほとんどのようです。人間からすると厳しい世界に感じますが、そうやって入れ替わることで遺伝的な多様性が保たれます。

 反対に、二種の間で異なるのは、足の指の形や、尾の有無などです。

 歯の形も異なります。カピバラの門歯(前歯)は、上下2本ずつの計4本から構成され、リスやビーバーと同じように平たい形をしています。木の皮や硬い草も噛みきることのできる強い歯です。一方、カバの門歯、特に下の門歯は前に突き出るように生えていて、地面の草を食べる時にスコップの役割を果たします。

 カバは鯨偶蹄目(ぐうていもく)、カピバラは齧歯目(げっしもく)で、分布している場所もカバはアフリカ、カピバラは南米と異なります。地球の反対に暮らしている生き物を見比べることができるのは、動物園ならではです。全部の動物を見て回るのも楽しいですが、二つの動物をじっくり見比べる楽しみ方もおすすめですよ。

(くもざる・かぴばら館、猛禽(もうきん)類担当 高橋ひな)
 
【写真説明】旭山動物園のカバ(右)とカピバラ
(2024年10月07日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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