北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


北海道ゴールドフィッシュクラブ監督 篠原伸人さん(47)


 夏だけではなく、通年で金魚すくいの練習ができる旭川市内の道場「金魚の館」で9月22日、全国大会「第1回金魚すくい甲子園」(実行委員会主催)が開かれる。実行委の中心メンバーで大会の企画、運営を担う篠原伸人さん(47)は、愛好者でつくる北海道ゴールドフィッシュクラブ(旭川)の監督も務めている。篠原さんに金魚すくいの魅力や大会に向けた思いを聞いた。

 ―金魚すくい大会とはどのようなものですか。
 「取っ手がついた輪に和紙を貼った『ポイ』と呼ばれる道具を使って、3分間で何匹の金魚を水槽からすくえるかを競います。水槽の壁面にポイを接触させてすくってはならないといったルールもあります。水槽の中を泳ぎ回っている金魚が相手のため、動体視力や忍耐力が必要で“世界一静かなスポーツ”と呼ばれることもあります。旭川では全道大会、金魚の産地として有名な奈良県大和郡山市では全国大会が行われています」

 ―どんな点に魅力を感じますか。
 「出場者の真剣な姿や張りつめた雰囲気に夢中になりました。動き回る生き物が相手なので、試合運びの予想がしにくいのも魅力です」

 ―旭川で開く甲子園はどのような大会ですか。
 「2013年から旭川で開いている全道大会で、個人の技術は向上しましたが、競技人口が増えないことが課題でした。今回の甲子園は、3人一組のチームが学校別に出場し、トーナメントで戦います。裾野が広がることを期待しています」

 ―どうして監督になったのですか。
 「19年に当時小学4年生だった長女が全国大会に初出場し、レベルの違いを実感しました。地元から全国で上位を狙える選手を出したいと思い、他県の道場に見学に行き、動画共有サイトの映像を見たりして技術を学びました」

 ―どんな技がありますか。
 「和紙が破れないように長持ちさせるため金魚の尾びれをポイの外に出してすくう技や、群れになった金魚を4~6匹同時にすくいあげる『大量すくい』といった技などがあります」

 ―金魚すくいを広めたい理由はなんでしょうか。
 「年齢や体格差が問われないスポーツで、小学生から高齢者までの達人たちがいることが最大の魅力です。団体戦では仲間の絆も生まれます。今取り組んでいる人たちにはぜひ長く続けてほしいです」(聞き手・菅沢由佳子)
 

*取材後記
 夏休み中の金魚の館には、朝から小学生が集まり、一度に5、6匹もの金魚をすくいあげていた。「大量すくい」と呼ばれるこの技がなければ大会で勝ち抜くのは難しい一方、ポイが破けてしまうこともあり、戦略も問われるという。お祭り会場に並ぶ露店で「運試し」の遊びという印象が強かったが、子どもたちの様子や篠原さんの熱弁から金魚すくいは「競技」だと実感した。

 

 しのはら・のぶひと 1976年、深川市生まれ。不動産会社で働きながら、北海道ゴールドフィッシュクラブの監督を務めている。知人を手伝い「北海道金魚すくい選手権大会」を開催するまで、本格的な金魚すくいの経験はなかった。
(2024年09月02日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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