北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


餌の調達*生態に合わせて量調整


 野菜100キロ。トウモロコシや小麦の粉末などを配合した固形飼料100キロ。馬や鹿、鶏の肉を合わせて40キロ。魚類はホッケとオオナゴで50キロ―。7月のある1日に旭山動物園の動物たちが食べた餌の量だ。その合計、実に300キロ近く。1頭でキャベツや干し草など20~30キロを平らげる“大食漢”のカバから小動物まで、約100種600匹に各飼育担当者が量や種類を調整して与えている。

 これら餌の管理を一手に引き受けるのが、飼料担当の畠山淳さん(50)だ。発注から保管、予算管理までを1人で行う。前日に解凍しておいた肉を切り分けて各飼育員に渡し、在庫が少なくなったら業者に発注する。広さ約20平方メートルの冷凍室に蓄えられるのは、肉や魚最大2カ月分ほど。固形飼料は長く置けばカビが生えてしまう。納入が遅れて餌が底を突くことのないよう、残量と消費量とをにらめっこする日々だ。

 他園では、餌の管理を業者に委託し、獣舎まで運んでもらうところもあるという。畠山さんは「運んでもらえたらいいなと思うけれど、今のやり方は動物たちの状況に合わせて餌の量を変えられる良さがある」と話す。

 固形飼料だけでも20種類以上を仕入れ、動物の生態に合わせて与え方にも工夫を凝らす。ゴマフアザラシは、自然界では冬に北海道近海でも見られるが、夏前にサハリンなど北へ移動する。そんな彼らにとって夏の旭川は暑く、体の脂肪を落とすため食欲は落ちるという。多い月には5頭に対して1日20キロの魚を与えるが、7月は1日11キロと約半分に減らしている。

 さまざまな業務を担う畠山さんだが、一番苦労しているのが予算をオーバーしないよう発注することだという。物価が高騰する中、より安い仕入れ先を探し、余分な発注もしない。動物たちが満足できるよう、奔走している。(葉柴陵晴)

【写真説明】翌日動物たちに与える肉を調理場で解凍する畠山さん
(2024年07月22日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP