北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


NPO法人そーさぽ旭川・副代表理事 殿村みさきさん(45)

専門職が連携し困窮者支援*福祉の道進む学生 後押し

 生活困窮者の支援などを目指し、福祉の専門職らで発足したNPO法人そーさぽ旭川が道外団体とも交流するなど積極的な活動を続けている。設立から4年がたち、現在約60人が会員に名を連ねる。副代表理事の殿村みさきさん(45)に現在の活動や今後の展望について聞いた。

―設立の狙いは。
 「福祉の縦割り制度の隙間で困っている人がいます。例えば、就労支援では、障害者のケース、生活困窮のケース、どちらもある人も一定数います。福祉のいろんな分野の人がネットワークをつくれば、途切れない支援ができます」

―活動内容を教えてください。
 「当事者支援、支援者支援、地域・企業支援がありますが、支援は支援者だけがするものではありません。当事者にも支援する力があります。当事者として仲間を支える『ピアサポーター』や『ピアカウンセリング』です。当事者が集まっておしゃべりしながら編み物などをする場を設け、地域とかかわり、好きなことを実感したり、得意なことを披露したりしてもらいます」

 「一方で支援者は、孤立することがあります。支援者を支えるネットワークも特色です。定期開催する『アセスメント道場』に、1人で悩み、会社や職場でヒントや理解が得られないケースを持ち込んでもらうことで、参加者が一生懸命考えてくれます。孤立もかなり軽減されます」

―道外団体とも交流が盛んですね。
 「大分の子ども若者支援団体は、年代を区切らず支援していく先駆的な取り組みをしています。旭川に招いて交流会を予定していますが、大分市は人口規模や地域の中核市であるなど、旭川市と似ている部分があるので参考になると思います。また、長崎の団体とはオンラインで勉強会を開きました。医学部のある長崎大、福祉系学科のある長崎純心大の学生らが学びあっています。旭川も旭川市立大、旭川医科大、道教大旭川校に、看護学校や福祉専門学校があります。将来旭川にもこうした学生が学べる会ができればいいと思います」

―今後の方向性は。
 「福祉分野で働きたい学生に、仕事の魅力や実感を持ち、人脈をつくる後押しを進めたいです。道外の団体とネットワークがありますから、一緒に研修することもでき、福祉人材の確保にもつながると思っています」
(聞き手・桜井則彦)
 
*取材後記
 5月にそーさぽ旭川と道外3団体のオンライン交流会を取材させてもらった。岩手や東京、長崎の団体をはじめ大学生が積極的に発言していた。「何を話したって大丈夫。旭川の学生はもっと学生の特権を生かして」と、ざっくばらんに語る殿村さんがいるそーさぽ旭川。福祉や医療を学ぶ旭川の学生は、どーんと飛び込んでみてほしい。
 
 とのむら・みさき 1978年、旭川市生まれ。東京女子体育大学卒業。旧旭川市特殊教育センター、旭川市こども通園センターなどに勤務した後、現在は児童発達支援・放課後等デイサービスを手掛ける事業所で主に障害児相談支援事業を担当する。旭川市自立支援協議会子ども部会の副部会長も務める。

(2024年07月08日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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