北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


士別サムライブレイズ監督 小野真悟さん(39)

国内外のリーグ経験した実業家*地域に溶け込み 相乗効果を

 【士別】2季ぶりの優勝を目指す野球独立リーグ北海道フロンティアリーグ(HFL)の士別サムライブレイズ。昨季終了後に就任した小野真悟監督(39)は、国内外の独立リーグを渡り歩き、飲食店を経営するなど実業家としての顔も持つ。リーグ戦序盤の手応えやHFLの今後に向けた思いを聞いた。
 
―今季の戦いぶりをどう見ますか。
 「エラーや記録にならない守備のミスが多い中では善戦しているかなと思います。若い選手も多いので、序盤に経験ができるのは良いことです」

―これまでチームは、中村勝さん(元プロ野球北海道日本ハムファイターズ)と、ラルフ・ブライアントさん(元近鉄)が監督を務めました。自身のカラーはどのように出していきますか。
 「ブランド力では二人に勝てません。選手たちは、いろいろな場所で野球をして、仕事をします。社会人として人とどう接するか、引き出しを持てるように、経験も踏まえてアドバイスしていきたいです」

―HFLは選手の就労が課題です。
 「今季から主将を務める佐藤将悟が実践しています。私も一緒に手伝った農作業で、気を使えるので就労先でも喜ばれました。目配りや気配りができるのは相手の分析につながり、勝負強さに生きていると思います」

―経営者と野球の両立は難しくないですか。
 「27歳のとき、米国のリーグに挑戦し、渡航費をつくるため、飲食店を開きました。経営を始めたことは、野球がうまくなった原点です。自分という選手を育てるマネジメント能力がつきました。そういう意味でも、選手たちが就労して地域にどう貢献するかを学ぶことは重要です」

―HFL全体のレベルアップに向けた課題は。
 「士別は現在、屋内練習場の建設を進めています。環境の整備は急務です。良い選手はチームを選べるので、少しでも北海道に、士別に来てプレーしたいと思えるようにしていきたいです」

―国内外でプレーしてきた立場から見た独立リーグの魅力とは。
 「選手とファンの距離が近いことです。ホームの士別ふどう球場では試合後、必ず選手が見送りをします。触れ合う機会が多いので熱心なファンがいるのだと思います」

―地域の中でどのような球団でありたいですか。
 「地元企業との相乗効果があるのが一番ありがたいです。ブレイズがあるから地域が盛り上がる、そんな存在になりたいです」(聞き手・増田隼斗)
   
*取材後記
 「選手をしながら、地域貢献したい」。こう話す選手も多い。地元からも選手の就労や定住に期待する声が上がる。一方、独立リーグは選手の入れ替わりが激しく、シーズンオフに士別を離れる選手もおり、課題もある。実業家でもある小野監督は地域貢献の重要性を説く。試合での活躍はもちろん、選手たちがどう地域と関わっていくか。球場外の素顔や奮闘にも注目していきたい。
  
 おの・しんご 1984年、大阪府生まれ。野球独立リーグの石川ミリオンスターズ、大分B―リングスで監督や選手を経験。米国、メキシコ、ドイツなど5カ国のリーグでもプレーした。昨季は士別のヘッドコーチ。旭川や士別で「野球塾」の事業なども手がける。
(2024年06月03日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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