北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


アムールヒョウの同居*交尾を確認 繁殖に期待


 5月の園内、気温は23度。2頭は暑そうに、お互い離れた場所で寝転ぶ。ふと「みらい」が低いうなり声をあげたかと思うと、不意に歩き始め、「デン」に近づく。落ち着いた様子のデンも何かを察したように、みらいに覆いかぶさる。普段はあまり見られない、仲むつまじくじゃれ合う姿に、来園者たちはカメラを構えながら見守った。

 2頭のアムールヒョウが、繁殖のために同居する「ペアリング」を4月から始めた。雌のみらい(6歳)と、昨年10月にデンマークの動物園からやってきた雄のデン(2歳)だ。

 野生で確認されたアムールヒョウは100頭以下で、絶滅危惧種に指定されている。肉なら何でも食べ、シカなど自分の体重の2倍くらいまでの動物も獲物にしてしまうという。旭山動物園ではニワトリやヒヨコ、エゾシカなどの肉をえさとして与えている。

 基本的には単独で生活することから、これまで2頭は別々に暮らしていた。デンの体重は60キロで、みらいの約2倍と体格差が大きいため、同居には、みらいがかまれてけがをしたり、時には命を落としてしまう懸念もはらむ。

 みらいのあごの毛が抜けるなど、2頭がけんかをした形跡もある。ただ、普段は平穏で、同じ放飼場内の別々の場所で寝るなどすみ分けができているという。飼育担当の若山晃暉さん(24)は「交尾も確認しており、あとは時間と回数の問題ではないか。この様子であれば、妊娠が分かるまで同居を続けたい」と話す。

 旭山動物園は長年、アムールヒョウの繁殖に取り組んできた。1991年には、動物が自ら産み育てる自然繁殖に日本で初めて成功し、日本動物園水族館協会の繁殖賞を受賞。今回出産を目指すみらいも、2017年に旭山動物園で産まれた。

 みらいは8月に7歳となる。初産を8歳までに経験しなければ、その後の出産は難しいと言われており、年齢も意識しながら今回の繁殖に臨む。若山さんは「命のつながりをしっかり支えたい」と意気込む。(葉柴陵晴)
 
【写真説明】同居を始めたアムールヒョウのデン(左)とみらい
(2024年05月20日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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