旭山動物園わくわく日記
全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら
動物たちの冬支度*毛や体重 見た目に変化
朝晩の冷え込みが強くなり紅葉が進むこの時期、園内の動物たちの冬支度もどんどん進みます。毛が密になるだけでなく、毛の色が変わったり、体重を増やしたりと冬支度の方法もさまざま。北海道で暮らす動物も種ごとに冬支度の仕方が違います。
例えば、エゾユキウサギは夏毛が茶色、冬毛が白です。夏毛から冬毛に変わる際には毛が生え変わるのではなく、茶色の毛が徐々に白くなっていきます。その変化は足の先や耳など体の先端から始まります。反対に、冬毛から夏毛になる際には体中の白い毛が抜けて茶色の毛に生え変わります。換毛中はまだら模様になり、その様子は毎年違うのです。
体重が大きく変わるのはエゾタヌキ。春と秋では体重が1・5~2倍ほども違い、同じ個体かと思うほど印象が変わります。普段のエサは鶏肉・馬肉・動物用固形飼料を中心に与えていますが、秋は果物や野菜も追加します。今年も増量は順調で、重い個体では8キロを超えています。体重増と同じタイミングで冬毛に変わり、冬支度完了まではあと少しです。
エゾタヌキの体重変化には理由があります。彼らは雪がたくさん積もるとエサを探すのが大変になるので冬はあまり活動せず、秋に蓄えた脂肪を消費しながら暮らす「冬ごもり」をします。冬に備えてエサを蓄える動物もいますが、エゾタヌキは餌ではなく脂肪をためるのです。冬眠とは違って起きているけど、雪が積もった日や吹雪の日には巣穴から一歩も出ないこともよくあります。こんなときは巣穴に餌を置きますが、食べずに翌日まで残すことも。そして春を迎える頃には体重が減り、ほっそりとした姿になります。
ほかにもエゾリスは冬毛の特徴である耳の房毛が伸び、キタキツネは全身の毛がふさふさになっています。
北海道には多くの野生動物がいますが、どのように暮らしているのかをじっくり観察することはなかなか難しいです。旭山動物園では地元の動物の飼育にも力を入れています。動物園だからこそ「近くで」「じっくり」見ることができるので、ぜひ足を止めて観察してみてください。
(キツネ・タヌキ、サル舎担当 佐藤和加子)
【写真説明】冬に備えて太り、冬毛に生え替わりつつあるエゾタヌキ=10月8日
(2022年10月17日掲載)
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