北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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今週の一枚


「君の椅子」寄り添う友になって*旭川で今年のデザイン発表*2家族に贈呈

 子どもの誕生を祝い、手作りの椅子を自治体が贈る「君の椅子プロジェクト」(磯田憲一代表)の2022年モデルの発表会と贈呈式が16日、旭川デザインセンター(旭川市永山2の10)で開かれた。毎年変わる君の椅子の17脚目のモデルとなる今年は、東京のデザイナー・家具修理の坂本茂さん(60)が「君に寄り添う友達に」との思いを込めてデザイン。贈呈式では1月誕生の上川管内の赤ちゃん2人に椅子が贈られた。(山中いずみ)

 22年モデルは道産ミズナラを使い、製作は東川町のアートクラフト・バウ工房と東神楽町の匠(たくみ)工芸が担当する。坂本さんはあいさつで「ヨーロッパの教会や食堂で、誰かの居場所になっているような椅子」をイメージしたと紹介。「世界のどこかで誰かが、似ている椅子を日々使っている、と遠い場所や人々に思いを巡らせられる人になってほしい。そして君が大きくなっても、この椅子が君に寄り添う友達になってほしい」との思いを披露した。

 贈呈式で椅子をプレゼントされた、東神楽町の小足来実(くるみ)ちゃん=1月4日生まれ=の母、梨帆さん(27)は「木のぬくもりが良く、大切に作られたと感じる。大きくなったら、たくさんの大人が来実の誕生を祝って作ってくれたんだよと、伝えてあげたい」と喜んだ。東川町の小林ゆいかちゃんは、兄の玲馬(れいま)ちゃん(2)も君の椅子を持っている。父の拓馬さん(38)は、「ゆいかが自分で座れるようになったら、きょうだいで椅子を並べて一緒に写真を撮ります」と感謝した。

 「君の椅子」は2005年に、元道副知事で旭川大大学院の客員教授だった磯田代表が、ゼミの院生たちと考案。上川管内の5町を含む道内外の7町村が参加し、昨年12月末までに2245脚が贈られている。

 

*自費参加 全国から2100脚超

 「生まれてくれてありがとう。君の居場所はここにあるからね」との思いを込め、自治体が贈る「君の椅子プロジェクト」は、費用を負担すれば個人も参加できる。2009年秋に始まった「君の椅子俱楽部」で、これまでに2106脚(昨年12月末現在)の申し込みがあり、全国各地の新生児の元に届けられている。

 事務局によると、磯田憲一代表の講演や報道で「君の椅子」を知った人が、自身の子どもや孫、ひ孫に贈りたいと申し込む場合が多い。中には「長い不妊治療の末に授かったわが子に贈りたい」という声や、病気で余命わずかな女性から「生まれてくる孫へ『ずっと見守っているよ』という気持ちを形にしたい」と製作を依頼されることもある。

 費用など問い合わせは君の椅子俱楽部の事務局、旭川大学事務局庶務課(電)0166・48・3121へ。(山中いずみ)

 
【写真説明】今年の「君の椅子」を贈られた東神楽町の小足来実ちゃんと両親(宮永春希撮影)

(2022年4月17日掲載)

 
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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