北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


カバの赤ちゃん*順調に成長 母も献身的

 新型コロナウイルスの影響で夏季開園が延期となりました。本来なら大勢の来園者でにぎわっているこの時季。園内は静かです。お客さんのいないゴールデンウイークは初めてです。なんともやり切れない残念な思いでいっぱいですが、仕方がありません。

 さて、1月16日に生まれたカバの赤ちゃんが順調に成長中です。今回は誕生前後から現在までのお話です。

 父親は百吉、母親は旭子。実は昨年もこのペアで繁殖していますが、子は未熟な状態で生まれたため、生後2時間ほどで溺死してしまいました。前回の経験を踏まえ、出産時には子が溺れないようにプールを浅くして出産させようか、直前まで悩みました。ただ、カバは水中で出産する動物。ここはカバの本能を信じ、逆に水位を上げることにしました。

 出産当日の朝、旭子はとても落ち着いていました。「今日もないな…」と思い、通常通りに飼育作業を始めました。午前10時を過ぎたころ、監視用モニターを見た同僚から「生まれているみたいですよ」と無線が入り、確認すると、子がプールで必死にもがいていました。慌てて作業を中断。親子だけの空間にして静かな環境をつくりました。子は15分ほどで浅瀬にたどり着き、生後2時間で上陸しました。まずは一安心です。初授乳は午後4時ごろ、ジューッという大きな音をたて力強く吸いました。授乳は水中と思っていたのですが陸で行われました。

 旭子は献身的な育児を見せ、とてもいい母親です。先日、子の性別は雌と判明しました。親子の様子は館内に設置したモニターでご覧いただけたかと思いますが、皆さんには子を目の前で見てほしい。4月17日、生後約3カ月で屋外放飼場デビューを果たしました。準備は着々と進んでいます。開園日に向けて今はしっかりと準備を整えています。その日が来たら、ぜひ旭山動物園に遊びに来てください。(副園長 中田真一)

【写真説明】屋外で太陽の日を浴び、元気な姿を見せるカバの親子

 

(2020年5月3日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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