北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


ワオキツネザル母さん 子育てに大忙し*一度に3匹は難しく…

赤ちゃん2匹を世話するナスカ(打田達也撮影)

赤ちゃん2匹を世話するナスカ(打田達也撮影)

 

 夏季開園に向け、休園中の園内ではワオキツネザルの「ナスカ」(12歳)が3月に生まれた赤ちゃん2匹の子育てに大忙しだ。ナスカはわんぱくに動き回る2匹を抱え、交代で母乳を与えている。群れは全部で11匹になった。

 「生まれとる!」。3月5日の朝、飼育員の佐藤和加子さん(39)はナスカの乳にしがみつく2匹を見て、思わず声を上げた。ワオキツネザルは飼育数が増え繁殖制限をしていたため、出産は予想外で、しかも双子。その日の夕方には、別の個体の「リン」(4歳)も1匹を産んだ。

 9日にさらに驚くことが起きた。ナスカがリンの赤ちゃんを抱え、3匹を同時に子育てしていたのだ。佐藤さんは「リンの乳の出が良くなかったのかもしれない。はっきりとした理由は分からないが、子どもの方からナスカに移動したのでは」とみる。3匹の保育は珍しく、飼育員たちは興味深く見守っていた。

 しかし、27日の朝、3匹のうち1匹が死んだ。リンの赤ちゃんとみられる。前日からナスカにしがみつけず、床に落ちることがあり、ナスカも心配そうだったという。死んだ1匹は他の赤ちゃんに比べて体が小さく、佐藤さんは「お母さんの乳は二つ。飲み負けてしまったんだと思う」と残念そうに話す。

 赤ちゃん2匹は順調に育ち、白と黒のしましまのしっぽを元気に振っている。ワオキツネザルはアフリカ南東部のマダガスカル島に生息し、寒いのが苦手。この春、展示施設に暖房機が付いた出窓が三つ設けられた。ナスカも出窓で座ったまま両腕と両脚を広げてくつろいでおり、夏季開園では親子の様子をより近くで見られそうだ。

 動物園は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、夏季開園を当初の4月29日から、5月7日に延期した。坂東元(げん)園長は「動物たちは元気いっぱいに過ごしている。休園中もツイッターなどのSNSで動物の写真や動画を発信するので見てほしい」と話している。(若林彩)

(2020年4月19日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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