北海道新聞旭川支社
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北極星

稲荷桂司(旭川・公務員)*古墳の上で  2019/12/01

 神戸に行く用事があり、せっかくなのでついでに観光らしきことをしようと調べたところ、神戸の西の端に古墳があることが分かった。しかも兵庫県最大の古墳だという。楽しくなってインターネットで他の古墳についても調べると、いくつか集まって古墳群を作っているところがあるとかで、その航空写真なども見ることができた。

 古墳がいくつも並んでいる写真を見ていると、だんだん建造物というより生き物の群れのように見えてきて、なんだか今にもモゾモゾと動きだしそうな感じがしてくる。

 似た印象の写真をどこかで見たような気がして考えてみると、それは遠い宇宙の果ての天体写真に写る銀河の集まり、銀河団だった。自然の造形だが、その様子は生き物が動いているように見える。

 現地で実際に古墳に登ってみると、その日は快晴で空がとても広く感じた。淡路島を目前に瀬戸内海を見下ろす立地だったが、逆に上から誰かに見下ろされている心地がした。

 普段は虫たちの動きを見下ろしているが、虫たちは人間から見下ろされているとは思っていないだろう。人間も次元の違う何かから見下ろされていないと、誰が断言できるだろうか。そんな妄想にふけってしまうほど、非日常的な雰囲気が味わえる経験だった。


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