北海道新聞旭川支社
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北極星

國枝保幸(市立稚内病院長)*過重労働  2019/11/25

 病院に持ち込まれる苦情のひとつが「医者の態度が悪い」というものです。そう訴えられることが多い場面が、深夜の救急外来です。眠い目をこすりながら、無愛想な態度で対応するため、「態度が悪い」と非難されることになります。

 医師は当直日の朝から病院勤務が始まり、夕方からそのまま当直業務に突入します。稀(まれ)に眠れることもありますが、運が悪ければ全く眠れません。1時間に1人でも患者が来れば、やはり眠ることはできません。

 「今まで我慢していたのだけれど」と深夜に来院されたり、「目が覚めたら具合が悪くて」と明け方に受診されたりするわけです。そんなわけで結局、仮眠程度のまま、翌日また朝から通常業務が始まることになります。

 その日の仕事も夕方5時に終わることはまずありません。夜遅くまで働くと連続36時間勤務なんてことが常態化しています。特に内科の医師は待機当番で救急外来からの呼び出しが多く、大変忙しい状況に置かれています。

 月の時間外労働が60時間を超えた場合、過労死認定されますが、内科の固定医が1人減員となった年は内科の医師全員の時間外が100時間を超え、超過重労働となりました。こうなると後輩医師の顔色を気に留める以外、私には手だてがありません。


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