北海道新聞旭川支社
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北極星

谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*国立歴史民俗博物館 2019/05/13

 平成から令和にかけての連休に、時々渋滞にはまりながら北関東あたりをウロウロし、大洗港(茨城県)からフェリーで帰ってきた。

 最後の方で立ち寄った千葉県佐倉市には国立歴史民俗博物館がある。日本の歴史と文化に関する資料の収集・保存・調査研究を進める大学共同利用機関であり、それらを博物館という形で一般公開している。

 先史・古代の第1展示室から現代の第6展示室まで六つのゾーンそれぞれにテーマを設け、工夫を凝らした展示が見事で壮大だ。ジオラマなども実に精緻で感動する。丹念に見学したら一日でも足りないほどなので、ややスピーディーに中世・近世と見て回り、第5展示室までたどり着く。

 ここは文明開化や近代の産業の発展が中心で、北海道開拓にも目を向けている。と、視界に見慣れた地名が登場した。ええっ? 名寄? そこには明治40年代の名寄市街の地図とともに駅前の運送店らしき内部と賑(にぎ)わう通り、行き交う人々が再現された模型があった。ここで名寄に出合うとは。でも、数ある北海道の市町村の中から、なぜ名寄を取り上げたのだろう。

 平成が終わり、新聞やテレビではこの30年を振り返る特集が多かったが、この施設では30年どころか3万年くらいを振り返った。人々が生き延びて今があるのだ。日本という国はこの先も永く良く生き残れるだろうか。


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