北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*図書館の片隅から 2019/02/17

 たまには仕事のことを書こうと思う。私は大学図書館で図書館間相互利用(ILL)を担当している。学生や教員が必要とする文献がない場合、他の図書館に借りる、コピーを送ってもらう―という業務だ。

 つい最近も岩手県の医科大学に依頼したところ、届いた文献の通知書には次の言葉が添えられていた。「昨年の北海道胆振東部地震に際し、心よりお見舞い申し上げます。震災支援のため料金は不要です。どうぞご利用ください」

 もうあれから5カ月たつというのに、まだ気遣ってくれている東北の図書館。東日本大震災を経験し、それを契機に(あるいはその前から)、図書館としてでき得る被災地支援の方策を検討されてきたんだろうと思う。感謝と同時に停電だけだったのにという申し訳なさもあったが、深く心に刻み、今後に生かしたいものだと同僚と語り合った。

 さて、ここまでは心温まるの話なのだけど、このたびの厚労省の不正統計問題! 労働や経済分野の研究者の中には衝撃で気絶しそうになった人もいると思う。私も文献検索ガイダンスの際に政府の統計サイト「e―Stat」を紹介し、統計資料は公的機関が提供しているものを使いましょう、と学生にさんざん言ってきたのに。今後は「政府が出す統計も信頼できないことがあります」って言わないと。


戻る