北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

嶋崎暁啓(豊富・NPO職員)*足跡に想う北国の冬  2019/01/07

 静まり返った冬の森。神秘的で一見すると生き物の気配は感じられない。だが、北国の冬は動物の存在を身近に感じられる季節だ。雪の上には動物たちの足跡が残り、葉が落ちた木々の枝を飛び交う小鳥の姿が見やすくなる。何より、夏は容易に入ることができなかった場所でも雪が積もれば歩いていくことができる。

 スノーシューを履いて1歩ずつ自然の中へと入っていく。早速、そこかしこに雪に刻まれた大小さまざまな足跡が見つかる。どんな動物が何をしていたのか? どこから来て、どこへ向かったのか? 彼らの動きが手に取るように見えてくる。

 ハンノキの下に、ネズミの足跡がたくさんあった。無数の種が雪の上に散らばり、それを食べに来たようだ。また、木の根元から根元へと急いで走り、飛び込んだと思われる足跡と穴もあった。天敵に襲われないように素早く行動しながら、限られた食べ物を探して命をつないでいるようだ。

 生き物同士の関わり合いも分かってくると面白い。キタキツネの足跡をたどっていくと、ネズミを探して雪を掘り返したり、エゾユキウサギを追いかけている足跡があった。

 静寂の中に急に動物たちの生命力が感じられ、冬の森を懸命に生き抜いている彼らの息遣いが聞こえてくるようだ。


戻る