北海道新聞旭川支社
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北極星

安川としお(士別・朗読パフォーマー)*年の初めに  2019/01/06

 喧噪(けんそう)に満ちた大みそかから一夜明けると新年。かつて元旦には雪深い道を登校し、校長先生の話を聞いて帰ってきたものでした。店は映画館とパチンコ店以外全て休みで、街がひっそりと厳粛な空気に包まれていたように記憶しています。

 2日は初荷。呉服店では景品を目当てに深夜からやって来る客のために、店舗前に灯をともし、一斗缶にまきをたいていました。雑貨店や酒店、食料品店等では夜明け前から、馬ソリやトラックに商品を積み込み、景気づけに空き缶をガンガンと打ち鳴らし、家々に酒やしょうゆ、箱入りミカンを配達したものでした。

 子どもたちは正月の歌の歌詞の通りに、晴れた日には凧(たこ)揚げに興じ、そこかしこでさまざまな凧が空に舞っていました。道々には晴れ着に身を包み、羽根突きをしている女の子たちの姿も見受けられました。

 家の中では、年始回りにやって来て一献傾けている来客の傍らで、近所の子どもたちも集まり、すごろくや福笑い、かるたなどをしてはしゃいでいました。

 昭和の時代には自然にあった人と人のつながりは、平成になって急速に希薄になったように思われてなりません。次に到来する時代では、人のつながりが見直され、多くの人々が「家族のだんらん」を取り戻し、のどかな正月が迎えられることを願います。


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