北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

村山修(枝幸・ダイニングバー店主)*美味しい秋なのに 2018/10/21

 何故こうなったのか。幼いころ、近くの公民館の外壁に無数のヤツらがいた。祖母と畑の隅の朽ちた板をはがすと、そこにも密集して一面にヤツらが…。僕は「テントウムシ」がどうも苦手だ。鮮やかな体色と、あのフォルムで飛ぶという不思議。外敵から身を守るための異臭。ダメだ。

 一定以上の年齢の方では、定番の結婚パーティーでの「てんとう虫のサンバ」という歌で、何かを囃したてている様子は、幸い、みたことが無いけれど、それはそれで、怖いもの見たさ、という気持ちが多少ある。

 しかし、日本では「太陽に向かって飛ぶ縁起の良い虫」とされていたり、海外でも、「幸福を呼び、かつ神聖な生き物」などと、どちらかというと、どうも愛されているようなのだ。

 がしかし、苦手なものは苦手なのだ。ここ数年この時期に大量発生し、歩いていると容赦なくぶつかってくる。旬を迎え美味(おい)しいサケや秋野菜の献立を考えながら歩いていると邪魔になってどうしようもない。なので、いつも同じようなメニューになってしまう、と、言い訳をしてみる。

 これから港では、クチグロマスやイカなどが水揚げされ、深まりゆく秋のオホーツクの味覚を楽しむことが出来る。

 そして今度は「ユキムシ」が舞い始め、また、歩く妨げが発生するのだった。


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