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北極星

 佐藤アレーナ(留萌・主婦)*つながる大切さ 2018/06/04

 私たちがこれまで信じてきた「人種」の境界は、DNA鑑定技術の進歩により、かなり曖昧であることが分かってきたようです。例えば、「自分は北ヨーロッパの人間」だと信じてきた人の祖先をたどると、中東、アジアや北米インディアンがいたといったことが実に多くの人に当てはまるとのことです。

 そんな科学が発達するはるか昔の170年前に、ある人物が「人種」という考えに疑いを持ち、太平洋を渡りました。米国オレゴン州に生まれ、留萌管内の焼尻島に初上陸した、日本初の英会話教師でもあるラナルド・マクドナルドです。「人間は互いに深くつながっている」という彼の考え方や行動は、今も多くの人に感動を与え、米国では日米関係においても歴史的に重要な人物とされています。

 私は、縁あって結婚してこの留萌に移り住みましたが、人は相互に深くつながっているという同じ思いを持っていること、またマクドナルドのお墓のあるワシントン州生まれの私が留萌に来たというのもまた、時代を超えた不思議なつながりを感じます。

 人間は集団への帰属意識が強い生きものです。しかし、自分と違う人や集団と出会ったら、嫌ったり軽蔑するのではなく、互いに学び、敬意を持ってつながることが、世界が近くなった現代に求められると思います。


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