北海道新聞旭川支社
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北極星

 村山修(枝幸・ダイニングバー店主)*エゾエンゴサクの盗蜜 2018/05/20

 一斉に野山や庭に花が咲き、目に鮮やかな季節。あちこちに残雪があったと思っていたらいつの間にか消え、新緑の芽吹きまでもうすぐ。うつろいは早い。

 いつもの通り道の脇に、いつものように青紫色の「エゾエンゴサク」が今年も咲いている。その少し先には「ミズバショウ」や「ヤチブキ」も見ることが出来る。

 長かった冬のデトックスには「山菜」だ。幸い家の周囲に生えているものが数種類あるので、ゆでたりあえたりしておなかに収まった。

 変わらない春。なのだけれど、実は、少しずつ環境が変化していることもあるようだ。昆虫に受粉を期待して蜜をためる「エゾエンゴサク」が「盗蜜」によって、繁殖が妨げられている現象が起きているという。子どものころ、遊びながら吸った記憶のある方も多いだろうが、いまどきそれが、はやっているという訳ではもちろん無い。

 外来種の「セイヨウオオマルハナバチ」が増え「盗蜜」しているようなのだ。

 今では北海道の味としてお菓子などにもなっている「ヤマワサビ」も、元々は移入された植物だし、原野の景色をオレンジ色に一変させてしまった「コウリンタンポポ」も外来種だ。ヒトやモノの行き来が与える影響は止める事は難しいけれど、気に留めておく事は必要だと思う。


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