北海道新聞旭川支社
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北極星

 森川理加子(士別・演劇集団主宰)*偉大な道具 2018/03/15

 畜産農家のわが家は畜舎や農舎、堆肥舎など建物が10棟もある。おかげで屋根の雪下ろしは毎冬大変で、業者や友人の手を借りることも少なくない。ただ、今シーズンは大雪の割に何度も暖気で屋根の雪が落ちたため、他所に依頼せず済みそうだと判断してしまった。しかし甘かった。今年の降雪量は半端ではない。

 ついこの間、雪が落ちたばかりだから1人でもできるだろうと屋根に上がると、たった数日で私の腰か胸くらいにまで雪が積もっている。しかも中途半端に暖かい日が多いものだから全体的に雪が硬い! アルミ製のスコップが刺さらないくらいに。

 これはもう、鉄製のスコップしかないと使い始めると、あら不思議。重くて腕が痛くなりそうと敬遠していたが、力を入れなくても重みでザクザク雪に刺さり、その反動で投げるだけなので驚くほど疲れない。

 そういえば、畑の草取りに使うくわも同じだ。農業素人の夫が「軽いから楽だぞ」と買ってくれたステンレス製のくわは、力を入れてたたきつけないと土に刺さらず、すぐに鉄のくわに持ち替えた。鉄のくわは重みでサクッと土に入り、簡単にザクザクと土を混ぜ返すことができるのだ。

 やはり昔から使われてきた道具は偉大だ。今日も鉄スコップで頑張ろう。春めいてきても雪はまだ多い。


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