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北極星

國枝保幸(市立稚内病院長)*コンビニ受診(救急外来編)  2018/03/01

 私がまだ当直業務をしていたころ、救急外来が始まる午後5時半すぎを狙って、数日来の症状、いわゆる風邪で、救急外来を受診する患者さんが度々いらっしゃいました。外来診療時間内に受診しないことをとがめると、「日中に病院にかかると時間がかかるじゃないか!」と平気でおっしゃるわけです。コンビニ受診の最たるもの、マナーの無さにも程があります。

 2012年9月、道内二次医療圏の病院が受け入れた時間外受診患者数を10日間にわたり、北海道が調査をしています。その中で宗谷地域は235人で道内1位、道内平均の2・7倍と報告されました。コンビニならば道内一もうけていると評価されるでしょうが、なんとも残念な記録です。

 13年度、派遣元の医局員の減少から内科医師が1名減員になることを受けて、病院を守るために、安定した慢性疾患、あるいは風邪などの軽症患者の診療所への受診のお願いと、時間外である午後の診療は原則お断りする旨、稚内市広報などに掲載しました。

 反響は大きく、「大変ですね」と理解を示してくださる方がいる一方で、「どうして市立病院にかかったら駄目なのだ!」という批判も多く聞こえてきました。地方病院の医師の疲弊が医療崩壊の原因になることを理解してもらうことが、簡単ではないことを思い知らされる出来事でした。


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