北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*都会じみてしまった島人 2018/01/11

 実は昨年11月から焼尻島を離れ、一時的に離島キッチン札幌店(札幌市北区)で働いている。全国各地の離島に特化した食材や料理を扱っている飲食店だ。焼尻で採った海藻を卸しているのが縁となり、1月末まで働かせてもらっている。本業のゲストハウスでもゆくゆくは食事を提供したいとの思惑もあるので、良い経験になっている。

 離島キッチンの特長は、使用している食材をお客さんに事細かに説明する点だ。「これは愛媛県岩城島のレモンポークを使った…」「これは島根県隠岐島の健康茶で…」なんて具合に紹介する。がらめ昆布やもずくが登場すれば僕の出番だ。「これは僕が採ったんですが…」なんて言うと驚かれることも多い。「島で暮らしている」というだけで話のタネになるのだ。

 ところで、札幌での生活は島暮らしとはかけ離れている。マンションに住み、地下鉄で通勤、雪投げする必要もない、だいたいの物は店で買えてしまう。挙げればキリがない。体を動かす機会も減り、すっかり都会じみてしまった。

 先日、お客さんに「きっとすてきな島なんでしょうね」と言ってもらった。「最高ですよ」と返したが、快適な都会暮らしを満喫している今の身分を思うと、ちょっと後ろめたい気もする。もとい、2月には「すてきな島」に戻ります!


戻る