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北極星

 國枝保幸(市立稚内病院長)*コンビニ受診(外来診療編) 2017/12/07

 医者の入れ替わる4月に繰り返されることは、「何時間待たせるのだ!」と怒り出す患者が必ずいることです。それが私の担当する患者だと、診察室に入るなり「お待たせしてすみません」の言葉もなく、私に説教をされる羽目になります。「なぜ待つのか」「他の診療所を紹介しますか」。今までにこの患者に要した診察時間をたしても足りないくらいの時間をかけて。ひどい医者です…。

 病院の規模を見る指標として病床数があります。道内の市立病院で最も大きい札幌が747床、最も少ない歌志内が60床、稚内は362床になります。一方、2006年度の当院の外来患者数は1日1070・1人でした。その患者数を30人の医師で診ていることになります。都会の病院で千人以上の患者が集まれば人気病院という評価になり、そういう病院には100~200人の医師が勤務しています。当院と同規模の名寄、苫小牧も千人程度ですが、医師数は当院の約2倍です。

 しかし、06年度以降はどの病院も外来患者が減少していて、稚内も1日800人程度となっています。これは長期処方が可能となり、2~3カ月の処方が増えたため減って見えますが、患者実数は逆に増えているのです。

 安定した慢性疾患で大病院へ通院することもコンビニ受診とやゆしますが、医療制度自体が大病院をコンビニ化していると言ったほうが正しいのかもしれません。


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