北海道新聞旭川支社
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北極星

 佐藤アレーナ(留萌・主婦)*クモの巣 2017/10/05

 近年の子育てでは難しいことですが、わが家では、ゲームやスマートフォンといったデジタルの仮想現実にかける時間を減らし、現実世界での体験を大切にするようにしています。

 都会での生活は広告や掲示物、アナウンスなどの人工物に囲まれ、視覚や聴覚に強い刺激はあります。雨風にもほとんど当たらず家から職場まで行くこともできます。半面、雨が降る直前の匂いや磯の香り、日差しなどを五感で感じる機会が少ないと思います。

 私の暮らす留萌は、冬は風が強く、夏にはすぐ近くの海で短くても暑い日差しを受けることができます。いくぶん不便なこともありますが、自然をリアルに感じる機会が多い。そこでできるだけ画面から離れるようにすれば、五感を全力で鍛えることができるのではないかと思います。

 先日、庭先でクモが見事な巣を完成させようとしているのを子どもが発見しました。人類が家や庭を作るようになる前からクモは完璧な巣を作ってきました。クモのその本能に家族で感動しました。

 現在の私たちの生活は世界中に張り巡らされたインターネットのウェブなしでは成り立ちません。でも、むしろ今私たちが見直すべきなのは、鋭い五感や本能で作るスパイダーウェブ(クモの巣)なのかもしれません。


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