北海道新聞旭川支社
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北極星

 安川としお(士別・朗読パフォーマー)*カラスと人間 2017/09/05

 今年、初めてわが家の菜園に小玉スイカの苗を植えた。生育が順調で収穫を楽しみにしていたが、先日、カラスに食べられてしまってがくぜんとした。ひどく腹が立った。

 カラスはごみを散乱させたり、排せつ物で道路を汚したりと、人間に迷惑がられている。しかし、学者によると、カラスは害鳥ではなく益鳥で、カラスがいなくなると、農作物を食い荒らす野ネズミなどが異常に増え、日本農業は絶滅してしまうのだと言う。数年前、大量発生したガの一種クスサンをカラスが駆逐した事が思い出される。

 環境の仕事をしていたころ、市民からの通報で行ってみると、子ガラスが巣から落ちて、民家の庭にあった網にからまり苦しんでいた。助け出そうと子ガラスに近づくと、カラスの親がうめき声を上げながら、頭上すれすれに飛んできた。その後は近くの木に止まって羽をばたつかせ、くちばしで木の皮がはがれるほど激しく突いた。子ガラスを気遣い半狂乱になっている愛情の深さに驚かされた。

 以前は、街中の小さな菜園まで荒らす事はなかったのに、カラスの生きる環境を人間が悪化させてしまったのかもしれない。作物が大切ならネットでも掛けて防御すれば良いのだと思いながら、菜園に出てみると、鮮やかに色づいていた赤ピーマンが無残に食べ散らかされていた…。


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