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北極星

 奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*島と人口減少 2017/08/08

 焼尻島に住んでいると、ときに「お悔やみのお知らせ」というものを聞く。島内各所のスピーカーや全戸配布されているIP電話から流れてくるのだ。移住当初は「こういった情報まで共有されるのか!」と驚いた。過去に住んだ地域では考えられないことだった。

 しかし、今では合点がいく。人と人との距離が近い離島で、訃報は移住者の僕でさえも人ごとではなくなってきたのだ。あいさつをしたこともあれば、話したこともあったりするわけで、訃報でも耳に届けて欲しい気持ちがどこかにある。

 島の人口は僕が移住してからの3年半で40人近く減った。もはや減るのが当たり前になってきたが、これで現在の人口が約200人なのだから緊張感がある。島内の出生数に至っては年間0人または1人で、到底増える気配はない。

 厚生労働省が公開した2016年の「人口動態統計月報年計」によれば、日本の出生数が100万人を切ったらしい。明治32年(1899年)に統計を開始して以来、初めてのことだそうだ。焼尻に住んでいると、こういった数字も重く聞こえてくる。

 この島は将来どうなっていくのだろう。不安は尽きないし、若いというだけで重責を背負わされても困るが、焼尻でゲストハウスを開業した僕にも何かできないかという思いはある。


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