北海道新聞旭川支社
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北極星

 稲荷桂司(旭川・公務員)*虫捕りの日々 2017/07/20

 春先に町内会の花壇の草取りに参加した際、上の娘がカナヘビ(トカゲのなかま)を2匹捕まえてきた。怖がるおばあちゃん方をよそに娘たちはかわいいかわいいと喜び、結局うちで飼うことになった。生きた虫しか食べないらしいと言うと、草むらでバッタを捕って来て、パクリと食べるのに歓声をあげていた。

 ただ最近の小学生は宿題などで忙しく、虫捕りに行けないことも多い。お腹(なか)を空(す)かせてはかわいそうなので、私が朝の出勤前に虫を捕るのが日課になってしまった。カナヘビはバッタやイモムシなどを喜んで食べる。最近この虫捕りのおかげで変な季節感を味わうようになった。

 春先は小さなイモムシが結構いたが、夏になるとみんな羽化したのかパタリと見なくなった。バッタはいつもいるが、近頃は暖かくなり元気になったのか、なかなか捕まらない。一度跳ねると視界から消えてしまい、どこに行ったかわからないのだ。やっとの思いで捕まえた虫を水槽に入れると、やはり活発になったカナヘビもすぐにバクリと食いついてバリバリとのみ込み、もうないのかという顔で辺りを見回す。こんな様子を見ると、また捕ってきてやらねばという気持ちになろうものだ。

 そんな私を見て、妻は私の方がすっかりハマっていると笑うが、子の父としては、やはり腹を空かせているのを見るのは忍びない。娘たちもいつか、そんな気持ちを知る日が来るのだろうか?


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