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北極星

 國枝保幸(市立稚内病院長)*救急医療 2017/07/13

 救急医療は初期、2次、3次救急に分かれています。ある程度の規模の町では、診療所が交代で夜間や祝日の初期救急当番を担当します。これを「輪番制」といいます。都市部の新聞には内科あるいは外科当番医として開院している診療所の案内が載っています。「夜間急病センター」が初期救急を担当している地域もあります。

 初期救急では対応しきれない重症患者は、2次救急医療機関で治療が必要となり通常入院となります。これも当番病院が決まっていますが、複数の患者が運ばれて来ると手が回らなくなり、受け入れ困難になります。いわゆる「たらい回し」のきっかけになるわけです。3次救急は、2次救急医療機関では対応できない重篤な患者を受け入れる病院が指定されています。

 稚内にも20年以上前には輪番制が存在した時代があったのですが、診療所が少ないこともあり、市立病院の当直の医師が専門科を問わず、すべての初期救急に対応しています。より専門的な判断が必要であれば、待機している担当科の当番医師が呼び出されることになり、さらに対応不可能であれば高次病院への救急搬送となります。ありとあらゆる患者を受け入れざるを得ませんし、「たらい回し」とは無縁な地域です。このことを恵まれていると思っている地元住民はまずいないでしょう。

 この規模の医療圏で1年365日24時間休まず初期救急を受け入れている病院は全国的にも珍しいかもしれません。


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