北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

村山修(枝幸・ダイニングバー店主)*歳月  2017/02/17

 小学生の頃の話をすると、それは40年ほど昔の話になり、高校時代でさえ30年前の話になってしまう。先の大戦が終わって24年後に生まれた僕は、この歳月の差のようなものに、少し驚く。濃密さとか科学技術の発達具合とか、社会の変化。

 携帯電話の契約は20年を超えたけど、生まれた頃からスマートフォンが当たり前の子どもたちの世代と、僕らの世代、交換手のいた電話の時代を生きた僕らの親たちの世代。通信技術だけでも、これだけの変化があった。

 2004年にこの町の有人測候所が廃止されたので、「流氷初日」の観測が無くなって13年。観測記録が無くなっても、今年も流氷がオホーツクを覆うことに変わりはなく、その勢力が衰えてはいるものの、豊かな海を守ってくれている。

 一度接岸したら春まで海面をみることが無かったほどの勢力は、もう40年近い昔の話で、押し寄せる流氷が、折り重なり山脈のようになったのも遠い話になってしまった。

 地球の温暖化は、気候が極端に振れることとも説明されているので、もしかしたら、またそういうことが起こるかもしれないけど、温暖化はでっち上げだと主張する方もいるので、先のことはわからない。

 現在もわからない将来も、過去の積み重ねの上にある。そのことを40年前の自分に言えたら、なにか変わっていただろうか。それは、わからないけれど。


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