北海道新聞旭川支社
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北極星

有村幸盛(旭川・文化団体事務局長)*笑門来福  2017/01/20

 よく狂言や落語のチラシの片隅に「笑門来福」と書かれています。笑いの世界だけでなく、一般社会にも通じる縁起の良い言葉だと思います。てっきり中国語が語源だと思っていましたが、改めて調べてみると上方版「いろはかるた」の「笑う門には福来たる」をもとにした言葉のようです。

 「笑い」は家の中だけでなく、さまざまな会合にも大切です。新年会や交礼会に参加し、つくづく感じました。参加者のちょっとした失敗も、司会者の機転で笑いに変わると一気に会場に活気が出ます。笑うとプラス思考になり、友好的になるようです。今年を思うと楽観的にはなれませんが、一緒に集い、笑い合うことで元気をもらいました。

 「笑い」の反対語は辞書的には「泣き」ですが、私は「怒り」ではないかと思います。社会的な不正への怒りは当然のことですが、最近は、他者への不寛容さからくる怒りで相手を攻撃するケースが増えているように思えてなりません。

 コンビニや市役所の窓口で、大きな声でクレームを言う人が増えています。子どもの声に対するクレームで運動会もままならないと聞くと、複雑な思いです。日本の政治や国際的にも、相手を容赦なく批判し、攻撃する人がもてはやされる風潮を、多くの人が憂えているに違いありません。

 「怒り」は長い間にはブーメランのように自らの身に降りかかり、発展の芽を摘みます。私自身、人の批判にユーモアを交えた笑いで返すという高等な話術は持っていませんが、今年は「笑い」を大切にする一年にしたいと思っています。


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