北海道新聞旭川支社
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北極星

稲荷桂司(旭川・公務員)*登ろう、登ろう  2016/12/16

 私の今の職場は庁舎の4階にあり、一応、職員は階差4階までのエレベーター利用を自粛している。そこで毎日、4階までを最低1往復はするのだけれど、私はそれでなくても階段を使っただろう。階段を「登る」というのは意外と面白いことだからだ。

 はじめはデスクワークが増えて運動不足なので、ささやかながら運動をと思っていた。特に朝はまだぼんやりした頭のままで登るので、それなりに刺激になる。加えて駆け足をせず、腰や関節に負担にならないように体重を乗せて、じっくり注意深く登ると、軽いストレッチ状態になり股関節などが柔らかくなる。

 そんな時フト思い出したのは、何年も前に山形の名刹(めいさつ)、「山寺」こと立石寺の崖ぞいの参道を登ったあと、なぜか腰が決まり、平地での歩きがスムーズになったことだった。職場ではそこまでのことはないので段差や角度に何か理由があるのかもしれないが、それでも似たような効果はあると思う。

 効果といえば、この夏、家族で旭岳に登った時、下の娘が下山途中で歩けなくなり背負っていくハメになった。高校時代は山岳部で活動した経験もあり、子供を背負うくらいわけはないと粋がったが、その晩はふくらはぎの激痛でしばらく眠れなかった。それでもふくらはぎ以外に目立った痛みはなく、これも階段歩きのたまものと家族にいばったのだった。


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