北海道新聞旭川支社
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北極星

斎藤美和(富良野・教員)*ストロベリー白玉  2016/12/10

 富良野が根雪になった11月の朝。娘が本を抱えて台所に走ってきた。「ルルとララのしらたまデザート」。児童書ベストセラーで、女の子2人とお菓子作りをするシリーズだ。

 「ねえ、約束通り夜予習してくれたんでしょう」とひかる先生、悪魔のささやき。いけない、寝てしまった。「ひかる先生、今から作り方を教えてください」「いいでしょう、みわくん」かくして、ストロベリー白玉作りの講義が始まった。材料をメモしてスーパーへ。とちおとめいちごをミカンの缶詰に交換しようとして失敗。お菓子作りは元手がいるのだ。

 早速、作業開始。いちごをフォークでつぶし、白玉粉とまぜこねる。生地をのばし、うさぎ型で抜き、電子レンジでゆでて氷水で冷やすだけ。お皿に盛りつけ、コンデンスミルクをかけて出来上がり! つるんとした白玉を一口ほおばる。「甘い、柔らかい、おいしい、やったね、ママ」。ぺろりと平らげた。

 翌日、今度はパパのためにココア白玉を作った。これまた美味。「いやあ、うまいねえ、パパびっくりだ」とご満悦だ。「みたらし白玉、抹茶白玉、お星様白玉もあるからね」。娘はニヤリと笑った。よし、こうなったらとことん付き合おう。

 子育てはいい(良い)加減が大切だ。白玉のように、堅すぎず、軟らかすぎず。しんしんと雪降る日に、子供とお菓子作りをする時間は温かい。案外、親の方が付き合ってもらっているのかもしれない。


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