北海道新聞旭川支社
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北極星

村山修(枝幸・ダイニングバー店主)*ツブの殻  2016/07/09

 ギョウジャニンニク、フキ、ウド、そしてワラビなど、家の周りの春の山菜が一段落したら、初夏。のはずが、今年の6月はやけに寒い日が続いた。最高気温が10度に達しないなかでの運動会ということもあったりした。

 それでも季節はめぐるもので、道路には、ウニやツブの殻が落ちているようになった。秋にはクルミが落ちていたりする例の仕業だ。

 その知恵者は、空中からアスファルトに落下させる方法を身につけているが、いかに自身の労力を使わずに、ヒト様をどう使うかを考えているようで、車の通る様子を観察している姿を、こちらも観察した。そんなことをされているとは、まさか思うまい。

 何台か車が行き来した後、歩道から車道へ歩みだし、ツブを設置したようだ。

 が、残念。タイヤからは逸(そ)れてしまったようだ。首をかしげながら、少しずらして再設置。フフ、と笑ってしまった。ずっと見ている時間もなかったので、現場を押さえることはできなかったけど、残骸があったので、作戦は成功裏に終わったようだ。

 ウニは真ん中がくりぬかれた殻が落ちているので、自身で処理できるのだろう。

 この辺りのカラスは、少し贅沢(ぜいたく)かもしれない。

 先日、家の前から車を出そうとすると、少し離れたところから「たまたまここにいるだけですよ」という体でいた。こちらも特に気にしているわけでもない。用事を済ませ、帰宅すると、「あ、ツブの殻が」。


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