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北極星

稲荷桂司(旭川・公務員)*歯医者  2016/05/21

 最近、十数年ぶりに歯医者に通っている。奥歯の周りが腫れて痛むので、食べかすが挟まって化膿(かのう)したのかとフロスをかけたところ、奥歯の銀歯が取れてしまった。歯医者で診てもらうと、奥歯の根の方に穴が開いていて、そこからばい菌が入ったらしい。掃除や消毒をしてもらい新たに銀歯をかぶせることになったが、ついでに歯石を取ったり虫歯のチェックをしてもらった。

 歯に磨き残しもなく、10年以上歯科に通っていないわりに虫歯もないと言われて気をよくしつつ、「楽にして下さいー」と声をかけられ、自分がけっこう緊張していたのに気づく。傷つきやすい口の中を無防備に他人にさらしていじられるというのは、たとえ相手が歯科医でも緊張してしまうのだと自覚した。

 それにしてもしばらくの間に治療具がよくなっているのに驚いた。以前はもっとごつい器具で、かなり刺激や振動がきていたと思うが、それがずいぶん軽くなっている。ただ器具の進歩だけではなく、その歯科の姿勢もあるかもしれない。極力「病院」というイメージで患者が身構えないように室内装飾に工夫が凝らされており、スタッフの応対も柔らかかった。

 相手のいる仕事というのは、やるべきことをやっていればいいわけではなく、心地よく受け入れてもらってナンボだと、改めて感じた次第。


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