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北極星

斎藤美和(富良野高教員)*縄跳び記録会  2016/03/15

 娘は根っからの負けず嫌いだ。縄跳び記録会の前日。「ママ、明日は表彰台に上るから。1位と2位は無理だけど、3位になるから絶対見に来て」と鼻息が荒い。年長ぶどう組は27人。練習記録では暫定20位。どう見ても分が悪いが、「応援に行くね」と指切りした。

 1月29日当日。観覧席に続々と父母が集まる。開会宣言がなされ、記録会スタート。名前を呼ばれた園児がホールの真ん中に立ち、次々に跳んでいく。会場は緊張感に包まれ、練習通りに跳べず泣きだす子も。娘は早々にはだしになり、ズボンをまくり上げ臨戦態勢だ。娘の番が来た。

 口をへの字に結び、縄を構える。ついに始まった。先生が声を出し数を数える。リズムに乗って跳ぶ。「ひかるーひかるー」。私は夢中で叫んだ。ゼーゼーと息が上がり苦しそう。でも諦めない。必死の形相で縄を回し続けた。

 大会記録176回。自己ベストを大幅更新し、結果は5位入賞。表彰台まであと一歩だったが、胸に飛び込んできた娘の表情は達成感にあふれ、たくましかった。

 「自分はダメだとか、できないとか、勝手に限界を決めてはいけないんだよ」。居間に飾られた賞状が私に言う。限界に挑戦した娘は4月からいよいよ小学生。雨の日も風の日も、親子でしっかり手をつないで歩いていきたい。もうすぐ春だ。


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