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北極星

高木知敬(市立稚内こまどり病院長)*冬のランニング  2016/03/02

 66歳の今も毎朝ランニングをやっているが、冬の未明に温かい寝床を脱出して、地吹雪の戸外に出るのはやっぱりつらい。

 真冬の午前4時はまだ完全に夜だが、ほとんど暗色のウエアで固めた私は、どうみても不審者だ。それでも、長年走っているので職務質問されることがないのはありがたい。

 「なにが面白くって吹雪の中を走っているのか」と自問することもあるが、元南極越冬隊員の生活習慣は簡単には止められない。走った後の達成感が一種の麻薬のような作用を生み、依存しているのである。

 一緒に走る相棒はいないが、ライバルは去年の自分だ。去年の今日は何キロを何分で走ったという記録があるので、それを目標にしている。自慢できる数字ではないが、去年とそこそこなら、それほど老化していないと判断できる。

 氷点下5度以下になると、路面は圧雪で安定し、ほとんど滑ることがなく、転倒の危険も少ない。雪道を45分ほど走り、ついでに家の周りの除雪などをすると、すっかり汗ばみ、気持ちがいい。

 早朝ランニングをやるためには、早寝しなければならない。夜更かしをしないと、無駄な食物とアルコールを取らないから体重が増えない。身体が疲れると自然に眠くなるから、睡眠障害とも無縁だ。生活習慣病のチェック項目にも異常がない。さらに冬場に作った体力が、春からのイトウ産卵観察や釣りの原野行に生きる。そんなわけで、ランニングをやめるわけにはいかない。


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