北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

嶋崎暁啓(豊富・NPO事務局長)*冬を満喫、スノーシュー  2016/02/24

 いつもと様子が違う冬だ。スッキリ晴れる日が少なく、常にどんより曇っている印象だ。年が明けてから利尻山の全景を拝めた日はわずか2日しかなかった。例年と比べて雪が少ない冬だと思っていたら、最近になって降り始め、湿原の積雪はあっと言う間に80センチに達した。スノーシューで散策するには十二分な量だ。

 スノーシューは西洋かんじきとも呼ばれ、最近はホームセンターでも手に入るほど一般的になった。装着も簡単で老若男女、誰でも気軽に楽しめるのが魅力だ。湿原センターでもレンタルしているので、スタッフから使い方を教わり、試してみるのも良いだろう。もし気に入れば自分のスノーシューを手に入れて、いつでもどこでも好きなだけ冬の自然を楽しめる。実際に持参して週末に遊びに来る常連さんもいるほどだ。

 スノーシューを履き、静寂に包まれた森に入ると雪化粧をしたトドマツやアカエゾマツが迎えてくれる。まるで絵本に出てくる北欧の森のようだ。動物たちの無数の足跡。木々の枝から枝へ飛び回る小鳥の群れ。夏にはササが生い茂り、入ることのできない森の中を自由自在に歩き、やがて湿原へと一歩踏み出す…。

 圧倒的なスケールの大雪原が目の前に現れる。ノハナショウブ、タチギボウシ、ナガボノシロワレモコウ。何種類もの枯れた植物が雪の上に顔を出し、その時々の出合いが、冬ならではの楽しみを与えてくれる。

 ノハナショウブの枯れた茎を揺らすと雪の上に種が飛び散る。種は雪どけの流れと共に移動し、どこかで芽を出すかもしれない。やがて来る春に思いをはせながら、どこまでも続く雪原に足跡を刻む。スノーシューは冬を楽しむための心強い相棒だ。


戻る