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北極星

沢田健(富良野市博物館学芸員)*たんすの8ミリフィルム  2016/02/19

 昨年、お世話になっている知人から、昭和40年前後に撮影した十数本の8ミリフィルムを寄贈いただいた。こうしたフィルムはインターネットで業者に依頼すれば、多額の費用もかからずデジタル映像に変換可能で、DVDプレーヤーで容易に観賞することができるようになる。

 今回の寄贈フィルムの中で私が感嘆の声を上げたのは、金山ダム堤体の建設工事風景、そして富良野町と山部町の合併運動の様子だった。寄贈者は木材業に携わっていたので、造材作業に関わるフィルムも数本あり、機械化が徐々に進んでいく時代の流れも垣間見た。

 その他のフィルムは小学校の運動会、平和慰霊祭の音楽パレード、高校体育大会、仮装カーニバル、夏休みのラジオ体操など、家族を中心としたプライベート色の強いものが多数だった。しかし、このような私事のフィルムであっても当時の世相はもちろん、背景の街なみや建物など、すでに失われた情報が数多く詰まっている点が大切で、博物館にとっては希少な資料になりうるのだ。

 さてパソコンで編集した映像をやまべゆきんこまつりで公開予定だったが、季節外れの雨天のためにあえなく中止。残念ながら来館者に見ていただくことがかなわず、別の機会に譲ることになった。

 ご自宅に8ミリフィルムを保管されている方は結構いらっしゃるはず。たんすの肥やしにしないで、ぜひ地元の博物館や図書館に相談してみてほしい。あなたのフィルムが、子どもたちや後世の人びとにまちのあゆみを伝える役目を果たすに違いないのだから。


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