北海道新聞旭川支社
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北極星

稲荷桂司(旭川・公務員)*書き初め  2016/01/27

 子どもの宿題には手を貸さない主義だが、上の娘が冬休みの自由研究にてこずっているのを見て、毎年やろうと思ってはドタバタに紛れてしまっていた親子書き初めをすることにした。万が一の時はこの書き初めを出せばいいというわけだ。

 柄にもなく張り切って、私が高校の書道部時代に使っていた一番高い筆を貸して練習させた。多少の字の崩れはご愛嬌(あいきょう)。どこかに見るべき味が出ていればそれでいいと、細かいことにはこだわらず、アドバイスは大まかな部分にとどめた。また形よりも筆の動きを表現してほしくて、一緒に筆を持って書いてやったりした。

 そうしていよいよ清書である。注意が生かされたり、また元に戻ったり、説明していない要点をちゃんとまねていて驚かされたり。書く様子を見ていると親バカかもしれないが新鮮で面白かった。

 以前に墨を使うとまわりを汚しやすいと思い、水で書ける紙で練習させた時には、途中でお絵描きにズレてしまうことも多かった。しかし墨で書くとなるとやはり真剣さが違うのか、時間はかかっても娘は終始楽しんで取り組んでいた。そして結局、自由研究はこの書き初めを持って行った。

 私も筆を執ることがなくなってかなり久しく、おかげでたまに筆で書くと目を覆いたくなるようなひどい字になってしまう。ここはひとつ、子どもをダシに稽古をはじめてみるか、と半ば本気で考えている。


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