北海道新聞旭川支社
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北極星

高木知敬(市立稚内こまどり病院長)*蔵書  2016/01/19

 私は、本が大好きだ。読んで知識を増やす読書家というより、むしろ集めて並べ満足する蔵書家である。決して高価な希少本を収集しているわけではない。好きな登山・極地関係本や釣り雑誌をため込んでいる。

 単行本、月刊・季刊・不定期刊などいろいろあるが、40年間にもなると膨大な数となり、家の床が抜ける心配をしていた。なにしろ、家のあらゆるところに本があるので、整理しなければならなかった。

 昨年の秋、納屋に手を加えて本棚を作りつけ、まるごと個人図書館にする構想を描き、今年の正月休暇を本の整理に充てた。雑誌を古いものから最新号まで束ねて延々と移動を繰り返した。納屋の室温は氷点下だが、重い雑誌の束を運んでいるうちに、いつしか身体は汗ばむほど温まった。

 「岩と雪」「北の山脈」といった既に休刊もしくは廃刊になったものや、「極地」「北海道のつり」など現在も刊行中のものもある。劇画「ゴルゴ13」は単行本だけで179冊もある。1冊ごとに思い出があるので、拾い読みしてたびたび作業は中断する。並べ方に違和感が生じると最初からやり直すが、疲れはまったく感じなかった。

 妻に「よく精が出るね」と笑われながら納屋にこもっていたが、古雑誌に囲まれて作業しているだけで幸せだった。一通り棚に並べると、真ん中に丸椅子を置いて座り、ラインアップの美しさで悦に入った。まさに「おたく」の世界。ただ、並んだ蔵書を再び読むかどうかは疑問だ。


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