北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

永瀬充のGO!パラスポーツ

 1*車いす補助具で雪道快適     2017/03/27

 車いすで雪道を進むことは大変だ。雪のない地域に住む車いす使用者には、北海道での生活は想像すらできないだろう。それでも、雪国では多くの車いす使用者が生活し、もちろん外出もする。

 気温が下がりガチガチに凍った歩道はコンクリートのようになり、意外とスムーズに進むことができるが、気温が高くなって表面だけ解けた状態や、雪が積もった後は特に苦労する。

 車いすには大きな後輪二つと小さな前輪二つが着いていて、その前輪が雪に埋まり進まなくなる。介助してもらう場合は、前輪を上げた状態で押してもらい進めるが、一人では立ち往生することがよくある。

 そこで私がこの冬に初めて使ったのは雪面用補助用具という物だ。全長30センチ弱の短いスキーをワンタッチで前輪に取り付け、柔らかい雪の上でも進みやすくなる。スキー場のような場所でも移動が楽になる。

 この用具を購入する際には市町村から一定額の補助が出る(市町村によって出ない場合も)。こうした用具を使うと車いすでも行動範囲が広がり外出が楽しくなる。車いすにとってバリアと思っていた雪も、工夫次第で十分に楽しむことができるのだ。

 1月から北海道新聞のパラスポーツアドバイザーになり、各地で講演を行っている。この活動を通じて道北のパラスポーツ“空白地帯”をなくし、障害のある子どもたちでも気軽に競技を楽しめる環境づくりに励んでいきたい。(北海道新聞パラスポーツアドバイザー、パラリンピック・バンクーバー大会アイススレッジホッケー銀メダリスト)

ながせ・みつる
1976年生まれ。旭川市在住。旭川凌雲高時代に神経難病になり手足が不自由に。19歳からアイススレッジホッケーを始め、ゴールキーパーとして98年長野大会から冬季パラリンピック日本代表として4大会連続出場。2010年バンクーバー大会でチームを銀メダルに導いた。15年に日本代表引退。日本パラリンピアンズ協会理事としてパラスポーツの発展に力を注ぐ。



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